書評:燃え殻著『ボクたちはみんな大人になれなかった』

      2019/01/06    - , 能政夕介のススメ


作者:燃え殻
ページ数:文庫版(179ページ)
目安読破時間:2時間

WEBサイトcakes発信の作品からのデビュー

小説家ではない、テレビ美術制作会社の『燃え殻』氏が、自身に影響を与えた昔の恋人との話を中心に私小説のような形で描かれた本作品。WEB連載をしていたこともあり、ストーリーがいくつかの節に分けられている点。そしてページ数も多くないので読みやすい一冊です。

 

タイトルは『ボクたちはみんな大人になれなかった』
このボクたちという複数形の名称は一体誰を指すのか?

小説の中の主人公である「ボク」、そしてそれ以外は?
昔の恋人?同僚の関口?一緒にお菓子工場で働いていた七瀬?それともスー?

そして「大人」とはいったい何なのか?単に成人を迎えればそれで大人と呼んでよいのか?
主人公は悶々としながら、過去の自分に影響を与えた恋人とのできごとを思い返しながら過去と今が少しづつ繋がっていく。

 

これだけ強烈に思い返し、そしてふとした瞬間に自分の思考のほとんどを埋めてくれる。
恋愛に対して男性目線と女性目線では捉え方は違うかもしれない。

それでも読み進めていく中で、切ない気持ちややるせない気持ちになる一方で自分を満たしてくれる特別な何かが、やはり恋愛の中にはあることを感じさせてくれたように思います。

人は色んなものをそれぞれ抱えている。
仕事や家庭、自身の性格、夢、将来の不安、健康・・・

そうした人が持つリアルな葛藤を、今を生きる僕らの思考に対して分かりやすく描かれている作品かなと思いました。
読み終わった後にモヤモヤする人もいれば、共感してすっとスッキリする人もいるように思います。

また作中には様々な音楽や映画のタイトルも出てきて、そっと物語にアクセントを加えています。
知っている人はよりリアルに、知らなくても、その作品を観たり聞いたりする機会になるのかなと感じました。

是非興味のある方は一度手に取って読んでみてください。

 

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Kotokake 代表 能政夕介

立命館大学産業社会学部卒。大学時代、RBC(立命館大学放送局)にてアナウンサーとして在籍。
ラジオDJやステージの司会を行う中で「人に伝える」ための方法やコンテンツ作りの楽しさを知る。
立命館大学卒業後は楽天(株)に就職し、インターネットを通じたマーケティングやコンテンツ開発から、楽天市場に出店する店舗様の売上を上げるコンサルタントを経験。その後独立をする。

現在はフリーアナウンサーとしてDAZNやスカパー、インターネット放送等でスポーツ実況も担当している。
その他にも結婚式、イベントの司会や企業・高校・大学等へコミュニケーションの講師としても活動中。
「話すことが楽しい!」と思える人を増やすために、学生から主婦まで幅広くオンラインや直接指導等を行っている。

【過去の出演歴】
DAZNにてJリーグ中継(J1/J2/J3)、スカパーにて天皇杯やユースの試合等も担当。
その他にもBリーグ、なでしこリーグやアメリカンフットボール、ラグビー、ホッケー、高校野球の実況等の担当経験もあり。


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