【オリンピックで見えたスポーツマンシップ】

       - コラム


先日TV番組の「奇跡体験!アンビリバボー」の中で、”オリンピック史上最も美しい場面 国を超えた奇跡”という内容でオリンピックの競技中に起きたできごとが放映をされていました。

2018年2月9日から平昌オリンピックがスタートすることもあり、今回のオリンピックでも結果だけでなくスポーツマンシップに則った感動的な場面に多く立ち会えるかもしれません。

ライバルが困っていたらあなたはどうしますか?

今回はスポーツの競技中でのお話しでした。
皆さんの生活に当てはめて想像するのもいいかもしれません。

仕事場でも、趣味の場でも、過去の経験で誰かと競い合ったことことを思い出してもいいでしょう。
勝負の世界はいつだって真剣です。

その中で、真剣勝負の最中に目の前でライバルが困っていました。

皆さんはどんな行動を選択するでしょうか?

当たり前は人によって違って当たり前

今回番組で取り上げられた内容は以下です。
※フジテレビHPより引用(http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/180208_2.html

12年前、イタリア・トリノで行われたオリンピック。 この日、クロスカントリー、女子チーム スプリントの決勝戦が行われようとしていた。 クロスカントリー チームスプリントは、1週1.15kmのアップダウンのあるコースで行われる。
1チーム2名が1周づつ交互に走り、計6週でタイムを競い合う。 クロスカントリーは、滑るというよりもスキーで走る競技、その中でもチームスプリントは距離が短いゆえに勝敗がコンマ1秒で決する過酷な種目である。
決勝ではクロスカントリー発祥の地である北欧のノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3カ国、そしてカナダがメダルを争うと予想されていた。
カナダチームは、前回オリンピックで、カナダ クロスカントリー史上初の金メダルを獲得したベッキーと、前年の世界選手権で入賞を果たしたサラのコンビ。 優勝候補の一角として期待を集めいていた。 サラとベッキーはプレッシャーを感じていたが、メダルを取り 注目を浴びることで、カナダではマイナーなこの競技を人々に知ってもらうことが重要だと感じていた。

プレッシャーを感じていたチームはここにも…ノルウェーのチームだ。 前回オリンピックで、ノルウェーはクロスカントリー競技中、ほぼ全てでメダルを獲得し、他国を圧倒。 その後の大会でも好調に成績を残し、絶対王者として負けられない意地があった。 さらに、ノルウェー国内でも、メダル獲得は確実だと思われており、国からの期待は二人に重くのしかかっていた。 ノルウェー・クロスカントリーの、ヘッドコーチであるビョルナルにとっても、女子チーム スプリントは絶対に負けられない戦いだった。

そして、いよいよ決勝戦がスタート! 第1グループは予想どおり、フィンランド、カナダ、ノルウェー、スウェーデンの4チーム。 先の見えない拮抗した展開が続く。
そして、レースは3周目に突入。 首位に立ったカナダに、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドが僅差で追っていた。その時!思わぬアクシデントが発生した! 坂を駆け上る途中で…カナダチームのサラ選手のストックが突然折れてしまったのだ!

 

クロスカントリースキーは、4本の足で走ると言われるスポーツ。 ストックは前足代わりになり、前に進む推進力になる重要な役割を担う。 片方のストックを失っただけで、前方に進む力が半減してしまうのだ。

サラは一瞬のうちに4位にまで後退。代わってノルウェーチームがトップに立った。
ルール上、もしストックやスキー板など用具が破損した場合、交換することが許されている。 だが…スペアを持ったカナダチームのスタッフは、近くにいながら異変に気付くことができなかったのだ。
次にストックを渡せるポイントは20mほど先、コンマ1秒を争うチームスプリントにおいて、それは致命的だった。 カナダクロスカンリー界のために4年間努力してきた彼女たちの挑戦は、あえなく終わろうとしていた。

その時だった! 誰かがストックを渡してくれたのだ!
ストックを渡してくれたのが誰かは分からなかったが、その時、サラは遅れを取り戻さなければということしか考えられなかった。そこから、カナダチームは猛追撃を開始。 一時は4位まで後退したところを、4周目にして3位に浮上。 そして…首位を走っていた優勝候補 ノルウェーを抜き返し、再び1位に躍り出たのだ! 果たして結果は…!?

カナダチームは金こそ逃したものの、見事銀メダルを獲得! だが、ノルウェーはその後、まさかの失速、4位に終わりメダルを逃してしまった。 サラはゴールした後、誰がストックを渡してくれたのか気になった。 カナダチームのスタッフではなかった。

一体誰がカナダチームにストックを渡したのか? 実は、ストックを渡した人物…それは、ノルウェーチームのヘッドコーチ、ビョルナルだった! この驚くべき行為はカナダ中に知れ渡り、大きく報道された。 だがあの時、もしサラにストックを渡していなければ、ノルウェーチームは最低でも3位以上、銅メダルは確実に取れていたはずだった。 一体なぜ、ビョルナルはメダルを争う国、ライバルの選手にストックを渡したのか?

数日後、サラとベッキーは、ビョルナルの元を訪れ、お礼を伝えた。 それにビョルナルは「僕は普通のことをしただけだよ」と答えたのだ。 そこには、クロスカントリースキーを心から愛する彼の哲学が秘められていた。
ビョルナルは、ノルウェー南東部にある町、ヘドマルクで生まれた。 幼い頃からクロスカントリースキーを始めた彼には、忘れられない言葉があった。 「たとえ、どんな状況であっても、共に走る者を敬い、助け合うことが重要なんだ」というもの。

そもそもクロスカントリースキーは、雪深い北欧で生活のための移動手段として誕生したとされる。 当時の人々にとっては、仲間と共に助け合い、無事に目的地へ到達することが最も大切だったのだ。
その精神は、やがてスポーツとして発展した後も、脈々と受け継がれていった。 だが近年、世界選手権やオリンピックなど 大きな大会では勝利史上主義に…どんな時も助け合うというクロスカントリーの精神は失われつつあった。

ビョルナルさんはインタビューにこう話してくれた。
「あれは反射でした。考える必要はありませんでした。みんなが2枚のスキー板と2本のスキーストックを使って戦うべきです。もちろん表彰台に上がれることを目指し試合に最善を尽くしますが、あの時一番重要だったのは、お互い助け合うことでした。」

サラさんとベッキーさんも当時を振り返り、こう話してくれた。
ベッキーさん「あの瞬間、彼はオリンピックのしかもメダルがかかってる場面にも関わらず、スポーツマンシップを優先してくれました。本当に特別なことだと思います。」
サラさん「敵チームだった私を助けてくれるなんて信じられません。まさにオリンピックが謳うフェアプレー精神を彼は私に体現してくれたんです。」

トリノオリンピック終了後、カナダ中からビョルナルを讃える声が殺到。 後日、カナダに招待され、サラ選手と再会。伝統のパレードに共に参加した。それでも彼は、コメントを求められるたびにこう答えた。 「私はただ 当たり前のことをやっただけ」と…

一方、ノルウェーは、女子チームスプリントの結果が響いたのか、トリノオリンピックでの成績は低迷。 結局、メダル4個に終わり、ヘッドコーチであるビョルナルは責任を問われた。 そして、トリノオリンピック後、ノルウェー代表チームのコーチを辞任することになった。

トリノオリンピックから12年、ビョルナルさんは現在、スポーツ界を退き、IT企業のCEOとして活躍しているという。 だが、ビョルナルさんの愛するクロスカントリーの精神は思わぬ形で受け継がれることとなった。
それは、トリノオリンピックから8年後のソチオリンピック。 クロスカントリー、男子個人スプリントの準決勝のことだった。 決勝進出を目指し健闘する地元ロシアの選手が転倒、左のスキーの先端が折れてしまった。 それでも諦めず、諦めずゴールを目指し続ける選手。 コースに入り込み、彼に新しいスキー板を履かせる人物が…誰もがロシアチームのコーチだろうと思った。

だが…レース終了後、驚くべき事実が判明した。 なんと!カナダチームのコーチだったのだ!
驚くべきは、それだけではない。 彼は、トリノオリンピック チームスプリントで、サラと共に銀メダルを獲得したあのベッキーの夫だったのだ! いつ、どんな時でもお互いを助け合う…トリノでビョルナルが見せたクロスカントリーの精神は、確実に受け継がれていたのだ!最後にビョルナルさんはこう話してくれた。
「(平昌オリンピックでは)すべての競技でフェアプレーが見られたらいいですね」

 

↑ここまで引用(http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/180208_2.html

 

つまり、オリンピックという舞台で、そしてメダルのかかっている大一番で他国のピンチに対して行動をしたことが賞賛をされた。という内容でした。

当たり前のことをした。と話をしていたビョルナル氏ですが、人によってはこの行為を”当たり前の”のようにできない人も恐らくいるでしょう。一瞬の迷いも生じる人もいるかもしれません。

個人的な意見ですが、正解はきっとないと思います。
ビョルナル氏にとっては、ストックを渡すことが当たり前の行為であり、自身にとって正解だった。それ以上でもそれ以下でもないと思います。

 

ただ、この事実を知って感じた”今の感情”を大切にしたい。
少なくとも、私自身はこの話を聞いて自分もこう在りたいと思いました。

ライバルと正々堂々と戦い、お互い納得した状態で勝負をつけたい。
それがスポーツの場面だけでなく、どんな場面においてもです。

場面は違っても、正々堂々、そして自分に恥じない生き方をしていきたい。
そう感じさせてくれる内容でした。

平昌オリンピックもいよいよ開幕。
国を代表しての舞台での緊張感は想像できませんが、全力でエールを送りたいと思います。

 

Kotokake 代表 能政夕介

立命館大学産業社会学部卒。大学時代、RBC(立命館大学放送局)にてアナウンサーとして在籍。ラジオDJやステージの司会を行う中で「人に伝える」ための方法やコンテンツ作りの楽しさを知る。卒業後は楽天(株)に就職し、インターネットを通じたマーケティングやコンテンツ開発から、楽天市場に出店する店舗様の売上を上げるコンサルタントを経験。

現在はフリーアナウンサーとして結婚式、イベントの司会や話し方の教室を開講し講師として活動中。「話すことが楽しい!」と思える人を増やすために、学生から主婦まで幅広くオンラインや直接指導を行っている。
DaznでのJリーグ中継、なでしこリーグ、高校野球、アメリカンフットボールの実況中継等も担当。結婚式二次会のノウハウコンテンツも執筆中。


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