サッカーを奥深く感じることができる、戸田和幸氏が語る解説者の流儀とは?

      2019/01/06    - , 能政夕介のススメ


元日本代表の戸田和幸氏が書いた『解説者の流儀』を読みました。非常に読みごたえがあり、サッカー中継に関わらせていただいている身としては学ぶことの多い1冊でした。

解いて説くーその役割とは?

『解説』という漢字二文字を分けると、解いて説くという言葉の表現で当てはめることもできる。著書の帯には「難解だからこそ、すべての人のために言語化する」と掲載されている。

その言葉にも込められているが、サッカーは難解だと思われている部分は多いかもしれない。もちろん、純粋にサッカーを楽しまれている方も多いのは間違いないが、他のスポーツと比較して流動的な動きが多いスポーツと言えるだろう。

かつ得点が決して入りやすいスポーツではない。だからこそ、私の周りでも「サッカーは代表戦しか見ない」「ずっと見ていて面白さがなかなか分かりづらい」という意見もある。

その中で、「解説者」の方が担う役割は非常に大きいと思う。そして、個人としては実況者として、中継を一緒につくっていく仲間として「どうすればお互いの役割をきちんと発揮できるか?」について本を読む中で考えさせられた。

そういった意味合いでは視聴者とのしての「解説者」への見方と、共に中継に携わる実況アナウンサーとしての「解説者」の方への見方として学びが多い一冊でした。

詳しくは是非、著書『解説者の流儀』を読んでいただきたいですが、実況アナウンサーとしても話しを広げるための視点・着眼点を広げるためにもっとサッカーについて深く勉強したいと個人的に思いました。そして、戸田さんは解説者としてプロフェッショナルな準備と取り組みをされていることに刺激を受けたことも事実です。

私自身も目の前の中継だけでなく、もっとこのサッカーというスポーツについてより深く、そして情熱を持って、「実況者」という立場からスポーツを盛り上げていきたいです。

気になったフレーズをいくつかピックアップ

詳細は直接読んでいただくことにして、いくつか読んでいて個人的に印象に残ったページをいくつかご紹介していきます。

1章と2章は主に「解説者」とは?という部分にフォーカスが当てられており、どんな役割を担っていて、どんな準備を行い、どんな思いを持って伝えようとしているか?という部分が語られています。

また、3章では著者である戸田和幸氏のサッカー人生について書かれています。こうしたバックボーンを知ることで、より解説者の方の言葉にも重みが出てくるようにも感じました。

以下は4章以下で読んでいて、自分の中で印象に残ったストーリーが描かれていた箇所です。

4章 P103-「起点とは何か―」

5章 P129-「求められたものを理解し、アジャストさせる」

6章 P147-「サッカーの本質に目を向けてもらうための情報発信が必要」

7章 P157-「監督とチームとのマッチングの重要性」

8章 P189-「”戦術”も重要な技術力」

9章 P205-「守備の概念が日本と欧州では違う」

9章 P208-「できるだけ若い時期に欧州へ渡って欲しい」

もちろん他にも取り上げたい項目はいくつもありますが、個人的に印象に残った箇所が上記が見出しとして扱われている節の部分です。

今後の中継の際に意識したいと思えるポイントが随所にあり、読んで良かった1冊でした。もちろん、中継に関わる有無関係なくサッカーが好きな方や、指導者やスポーツの見方という部分でも勉強になる一冊だと思います。

 

Kotokake 代表 能政夕介

立命館大学産業社会学部卒。大学時代、RBC(立命館大学放送局)にてアナウンサーとして在籍。
ラジオDJやステージの司会を行う中で「人に伝える」ための方法やコンテンツ作りの楽しさを知る。
立命館大学卒業後は楽天(株)に就職し、インターネットを通じたマーケティングやコンテンツ開発から、楽天市場に出店する店舗様の売上を上げるコンサルタントを経験。その後独立をする。

現在はフリーアナウンサーとしてDAZNやスカパー等でスポーツ実況も担当している。
その他にも結婚式、イベントの司会や企業・高校・大学等へコミュニケーションの講師としても活動中。
「話すことが楽しい!」と思える人を増やすために、学生から主婦まで幅広くオンラインや直接指導等を行っている。

【過去の出演歴】
DAZNにてJリーグ中継(J1/J2/J3)、スカパーにて天皇杯やユースの試合等も担当。
その他にもなでしこリーグやアメリカンフットボール・ラグビー・高校野球の実況担当経験もあり。


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