コミュニケーションに生きる”哲学”vol1 ロゴス・エトス・パトスについて
2019/01/08
先日読んだ、山口周氏の『武器になる哲学』をコミュニケーションという目線から考察をしています。詳細はこちらから(記事は随時アップ予定です)
人のキーコンセプトから~ロゴス・エトス・パトス~
そもそも『ロゴス・エトス・パトス』はプラトンの弟子であるアリストテレスが著書「弁論術」で示しています。
ロゴスとはロジック。つまり論理です。
エトスとはエシックス。こちらは倫理。
パトスとはパッション。情熱を意味します。
人との対話、コミュニケーションでも個人的にこの『ロゴス・エトス・パトス』のバランスは重要だと考えています。まずは私の考え方をお伝えしておきましょう。
エトス100のロゴス・パトスは50/50が理想
おいおい。能政って人は計算もできないのか?と思われてしまいそうですが、決してそういうわけではありません。私からすると、エトス(倫理的観点)は基本的に大前提の考え方だからです。
どれだけ論理的に優れていても、どれだけ情熱的であっても「コミュニケーション」においてそれが道徳的な道から外れていては意味をなさないと考えています。むしろそうした言葉には価値がないと個人的に思っています。
※もちろん場を盛り上げる「いじる」等はまた別の考え方です。
その中で、ロゴスとパトスの割合をバランス良く取れることが理想なのかなと思います。
因みに私は恐らくパトス型。だからロゴスの部分を意識して話すように心がけています。
バランス良く意識ができれば、その場面に応じて話し方を選択できるようになります。
後述しますが、ロゴスが有効的な場面もあれば、エトスが必要な場面もあります。
いかに論理的(ロゴス)に優れていたとしても、それだけで人の心を動かすことはできません。
皆さんも過去に経験があるかもしれません。
「言ってることは正しいし理解できるのだけど、この人の言うことを聞きたいと思えない」
「詰められいるような感覚に陥る」「逃げ道を防がれているように思う」
「感情がないように思う」
実際に私もサラリーマン時代に、延々と数値に対して詰められた経験があります。
話を受けて、理解や納得はできます。但し、そこから新しいアクションをモチベーションを持って取り組むことを私はできませんでした。
ここで、情熱(パトス)が出てきます。
実現したい想いや、背景を言葉に載せるわけですね。但しここで注意したいのは、やはり情熱だけでは効果は薄いということです。
「言っていることが暑苦しい」
「根拠がないから無謀に感じる」
「毎回”頑張ろう!”とか同じことしか言っていない」
もし、職場の上司が、延々と数値や手法だけの論理を述べるのではなく、そして根拠のない情熱的な言葉だけではなく、この手法を選択した背景や数値設定の想いを語るとどうでしょうか?受け取り方に変化を感じそうでしょうか?
ロゴス重視の例
「●●くん、あの件だけどデータによると君の稼働率をあと20%上げると達成できるよ。だから明日までに電話の件数を確実に20件プラスしておいてね。よろしく」
パトス重視の例
「●●!最近頑張ってるな!あとちょっと頑張れば●●なら絶対達成できる!頼むぞ!」
ロゴス・パトスをバランス良く伝える例
「●●くん。ちょっといいかな?最近しっかりと成果を挙げてくれているね。本当に助かってるよ。ありがとう。今月までの目標まであと全体で◇%必要なんだ。そこで、●●くんの過去のデータを見たんだけど、稼働率を20%上げれば達成に大きく近づきそうなんだ。具体的に言うと、電話の件数を20件増やせば大きく近づきそうなんだが、どうかな?今の業務量に追加することはできそうかな?」
仕事上の部分では上記のような一例を挙げることができるかもしれません。
感じ方は変わるでしょうか?
もちろん、論理的に話しをできる能力は非常に重要です。そして、情熱的な想いを持って自分の主張を伝えることも重要でしょう。ここではそのバランスが大切だということを理解していただきたいです。
そして自分がどのコミュニケーションタイプかな?と理解しておくと、より良いでしょう。
著書の中ではリーダーに必要な資質としてレトリック=「弁論」とダイアローグ=「対話」のどちらか?という議論も出てきます。
リーダーに必要な素養として「プレゼンテーション力」も重要でしょう。周りを引き付ける話し方や、カリスマを感じさせるような伝え方。それらはロゴス・パトスの両方をバランスよく使い分ける必要があるでしょう。
論理的な話を延々と聞かされても飽きるだけでしょうし。情熱的な話だけをされても「絵に描いた餅」のような話であれば興醒めしてしまう方もいらっしゃるでしょう。
理想はエトスを背景にしっかりと持ち、ロゴスとパトスをバランスよく織り交ぜる。
但し、それらが一方的な出張で終わると危険だと思っています。その人に対しての陶酔は、一方通行のコミュニケーションに過ぎないからです。
真のコミュニケーターはロゴス・エトス・パトスを使いながら、相手と対話をし、共に創っていく「共創」できる人だと思います。
みなさんはどうでしょうか?普段のコミュニケーションの中で、自分はロゴス・エトス・パトスの何を意識して、伝えているでしょう?
そのバランスを考えるだけでも、コミュニケーションの質はきっと変わってくると思います。
先日読んだ、山口周氏の『武器になる哲学』をコミュニケーションという目線から考察をしています。詳細はこちらから(記事は随時アップ予定です)
Kotokake 代表 能政夕介
立命館大学産業社会学部卒。大学時代、RBC(立命館大学放送局)にてアナウンサーとして在籍。
ラジオDJやステージの司会を行う中で「人に伝える」ための方法やコンテンツ作りの楽しさを知る。
立命館大学卒業後は楽天(株)に就職し、インターネットを通じたマーケティングやコンテンツ開発から、楽天市場に出店する店舗様の売上を上げるコンサルタントを経験。その後独立をする。
現在はフリーアナウンサーとしてDAZNやスカパー、インターネット放送等でスポーツ実況も担当している。
その他にも結婚式、イベントの司会や企業・高校・大学等へコミュニケーションの講師としても活動中。
「話すことが楽しい!」と思える人を増やすために、学生から主婦まで幅広くオンラインや直接指導等を行っている。
【過去の出演歴】
DAZNにてJリーグ中継(J1/J2/J3)、スカパーにて天皇杯やユースの試合等も担当。
その他にもBリーグ、なでしこリーグやアメリカンフットボール、ラグビー、ホッケー、高校野球の実況等の担当経験もあり。