雑に相談する?⇒『ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」』:読書感想
こんにちは。フリーアナウンサーの能政夕介です。
『心理的安全性』というキーワードが組織を活性化するために必要だという声をよく聞くようになりました。では、どのような方法で心理的安全性が生まれるのか?大切な要素として『コミュニケーション』を挙げることができると思います。
今回はそんなコミュニケーションという要素を『ザッソウ=雑談+相談』という解釈から紐解いている一冊をご紹介しますね。
まだ読んだことない人は一度ご覧になってみてください。
紹介する一冊
『ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」』倉貫 義人 著
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『ホウレンソウ』というキーワードは良く耳にするフレーズの1つです
ホウレンソウが『報告・連絡・相談』は大切だという認識を私たちに伝えてくれました
ではなぜ新たに「ザッソウ」という新たなコンセプトを提示しようとしているのか?
そもそもザッソウとは「雑談+相談」(雑な相談)です
雑談があることで、相談のハードルが下がり、関係性を構築しやすくなります
皆さんも過去に、こんな経験はありませんか?
「こんなこと相談していいのだろうか?」「こんな相談で評価が下がったらどうしよう・・」という不安や
「どうしてもっと早く相談してくれなかったんだ」と問題が深刻化してからの相談等
働き方改革の影響で「効率化」が求められている中で、人間だからこそできるクリエイティブな価値提供や、働き甲斐のある環境やチームづくりを助けてくれるのが「ザッソウ」です。
では、「ザッソウ」はどのようにして起こるのか?「ザッソウ」が生まれる心理的安全性をどのようにつくりあげていけばよいのでしょうか?
仕事だけではなく、プライベートでの人間関係構築にも活用できる内容になっています
では、実際に中身を見ていきましょう
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第1部 「ホウレンソウ」よりも「ザッソウ」
一緒にいる人がどんな人たちなのか知らなければ、困っていても手を差し伸べることはない
仕事ができる人には仕事が集中して、他の人とコミュニケーション取るゆとりが生まれません
効率化を求めた結果、助け合いが起きない組織が生まれてしまう可能性があります
チームに働き甲斐がなければ、その環境に人は長くいないでしょう
結果を出すチームには「心理的安全性」が必要ですが、どうすれば心理的安全性が担保されるでしょうか?
仲良しとは違う心理的安全性を得るために、ホウレンソウとは異なるコミュニケーションが必要だと述べられています
現在はチャットワークやSlack、LINEやメッセンジャー等コミュニケーションも多様化しています
「報告・連絡・相談」の方法も大きく変わってきています
報告・連絡・相談の中で相談だけが、まだ確定ていないことを議論して、前へ進めていく役割を持っています
相談からアイデアが生まれる、または他人からどのように思われているかも知ることができ安心感を得ることができます
その、相談という行為のハードルを下げるのが「雑談」です
気軽に相談ができ、その雑談がチームや組織の目標達成や成果を最大化することに繋がればどうでしょうか?
ザッソウ(雑談+相談)はまさに、身近でできるチームビルディングの一環なのです
▽「ザッソウあふれるチームへの旅路」倉貫氏のTwitterより▽
「ザッソウあふれるチームへの旅路」は、ザッソウ本を俯瞰して見ることのできるマップとしてつくりました。昨日のイベントで、 @AkiraNagao から褒めてもらえて嬉しかった。せっかくなのでシェアします。
ザッソウ 結果を出すチームの習慣
ホウレンソウに代わる「雑談+相談」https://t.co/q7LH7kPmog pic.twitter.com/WhP8gwetWs— Yoshihito Kuranuki / 書籍:ザッソウ「雑談+相談」 発売中 (@kuranuki) November 13, 2019
第2部 「ザッソウ」でチームの成果は上がる
ザッソウが求められている理由の1つに、世の中のニーズが「再現性の低い仕事」を求めているという流れがあります
再現性の高い仕事は機械やAIのクオリティが上がり、代替されるようになっています
単純作業や、誰にでもできる仕事の価値が少しづつ下がってきているのです
そうした中で、創造性が求められる「再現性の低い仕事」を提供するためには1人の考え方ではなく、チームや多様な考え方があることでより生きてくるのです
著書内でも「一度で伝わる」はありえないと述べられており、1回の相談で全ての意図や背景を伝えることは難しい
だからこそ、日常的な雑談を行うことで相互理解が進みます
自分の中でもやもやしている「悩み」が雑談でのコミュニケーションで「考える」という行為に変わっていきます
組織の中でも、単純な依頼が問題や課題の相談になり、関わる人が当事者になり自分事として考えます
結果として助け合いのできる信頼関係が構築されていくのです
また、気軽な相談(フィードバック)が行われることで、前述した「どうしてもっと早く相談してくれなかったんだ」という問題も起こらなくなります
第3部 「ザッソウ」しやすい職場のつくり方
1部、2部ではザッソウの必要性が中心に述べられていました。
3部ではどうすればザッソウしやすい職場になるのか?そのつくりかたのプロセスが描かれています
著書内では4つのプロセスを経てザッソウができる職場になると書かれています
ただ、人が集まるだけではチームワークは醸成されていきません
チームワークにも段階があり、下記のサイトから参照しながら9つの段階が示されています
http://www.scholar.co.jp/workcollaboration/level/ より参照
チームワークの段階を引き上げていくことで、組織はより高い成果を生むことができます
また、タックマンモデル(形成期⇒混乱期⇒統一期⇒機能期)の説明に加えて、事例も展開
例えば著者である、倉貫氏の過去の事例に加え、「ソニックガーデン」の朝会・夕会の事例
「ヤッホーブルーイング」の雑談をする朝礼の事例も掲載されています
他にも「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムのマネージャーお茶会と社食の事例も紹介しています
共通している点は、形骸化しないように意味をもって仕組みがつくられていること。そして、仕組みのハードルが低いこと
しかしながら、組織としての徹底する覚悟は問われるかもしれません
また、関心を引き出すザッソウのフレームワークとして「YWT]という考え方も提案されています
Y=やってきたこと
W=わかったこと
T=次にやること
の頭文字をとっています
やってきたことの経験を引き出すことで他者理解に繋がります
相手を理解することで、自分の主観を押し付けることなく一緒に次にやること=未来への会話ができると良い関係を築いていけるかもしれません
また、終盤ではザッソウで考えるコミュニケーション術やどのような人間性を持つと良いかというスキル的な要素も述べられています
決して真新しい考え方ではありませんが、改めてそれが徹底できているか?と問われると振り返る良い機会になると思います
第4部 チームと人を変えていく「ザッソウ」
1部と同じくページ数が少ないですが、事例も含めて描かれています
自立型の人間を生み出すための「自己組織化」という考え方や、良い人材をつくるチームの人間関係についても触れられています
「他者から受ける影響」というのは大きい。だからこそどのような環境を選択するかも大切な考え方ですね
著書内でも事例として挙げられている大前研一さんの有名な言葉です
『人間が変わる方法は3つしかない。
1番目は時間配分を考える。
2番目は住む場所を変える。
3番目は付き合う人を変える。この3つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは
「決意を新たにする」ことだ』
(『大前研一洞察力の原点』)
気軽に話すことができる環境なのか?そういった環境を自分でつくりたい職場や仕事なのか?考える必要はあるかもしれません
そうした話すための「ゆとり」を生み出すための事例として、「福岡の井上総合印刷所」の事例も挙げられています
また、「見える化」⇒「言える化」についての事例もガリガリ君で有名な赤城乳業の感性教育について触れながら紹介
雑談は会社間を超えてサービスを広げていくという事例の中で、イシュランという医者と患者をつなぐサービスの拡大に繋がったお話もあり興味深かったです
事例が多かった4部の話ですが、採用するという観点も取り上げられ納得感のある事例も描かれていました
個人的には236ページにあった、「人は変えられないが、変わる瞬間をつくることはできる」という話が印象的でもありました
自分と他人は考え方や生き方も異なるので押しつけになってしまうこともあります
ただ、雑談を含めコミュニケーションによって、相手の変化に自分が関わることは大いにあると思います
思考の部分かと思いますが、それくらいコミュニケーションには価値があり、雑談には意義があるという点を終盤に強く伝えてくれました
また、あとがきでも書かれていましたが著者の倉貫氏も雑談が苦手だったというエピソードは、読んでいる人にも勇気を与えると思います
苦手からどのように向き合って、価値を感じて、どのように展開をしていったのか、そうしたことを本書を通じて感じることができるのではないでしょうか?
実際私は今京都にある最大級のコワーキングオフィスに会員として所属しています(京都起業家コワーキングオフィス Collabo Earth E9)
そこには100名を超える様々な人がいます。スペースのいたるところで会話やビジネスのコラボレーションが生まれ、些細なきっかけで大きな展開が生まれる瞬間を目の当たりにしています
人間関係やコミュニケーションに悩んでいる組織や人にとってきっかけになる一冊
興味があれば是非手にとってみてください
『ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」』倉貫 義人 著
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目次
第1部 「ホウレンソウ」よりも「ザッソウ」
1.ひたすら効率化だけを求めたチームの末路
2.結果を出すチームには「心理的安全性」が必要だ
3.「ホウレンソウ」に足りないコミュニケーション
4.雑談+相談=「ザッソウ」でいこう!
第2部 「ザッソウ」でチームの成果は上がる
1.なぜ、今「ザッソウ」が求められているのか
2.成果を上げる「ザッソウ」の使い方
3.「ザッソウ」がチームに及ぼす6つの効果
4.働きがいと働きやすさの両方を高める「ザッソウ」
第3部 「ザッソウ」しやすい職場のつくり方
1.「ザッソウ」できる職場へのプロセス
2.「ザッソウ」が生まれやすい環境のつくり方
3.「ザッソウ」しやすい心理的安全性の高め方
4.「ザッソウ」できる職場をつくるリーダーの姿勢
5.「ザッソウ」で考えるコミュニケーション術
第4部 チームと人を変えていく「ザッソウ」
1.「ザッソウ」がチームに果たす役割と本質
2.「ザッソウ」できる職場にはゆとりがある
3.チームの境界を越えていく「ザッソウ」
4.「ザッソウ」で組織は変わり、人を変えていく
5.「ザッソウ」あふれるチームで働く人を幸せに
個人的には各章の頭に書かれている、稲垣 栄洋氏の著書『雑草はなぜそこに生えているのか 』の引用文がまた勉強にもなり、心にも響きます。(まだ読んでないですが、この一冊も読んでみようと思います。)
また、著書である倉貫氏のブログでも概要が紹介されています
https://kuranuki.sonicgarden.jp/2019/08/zassou-book.html
皆さんもおすすめの本があれば、是非また教えてくださいね。ご覧いただきありがとうございます!
Kotokake 代表 能政夕介
立命館大学産業社会学部卒。大学時代、RBC(立命館大学放送局)にてアナウンサーとして在籍。
ラジオDJやステージの司会を行う中で「人に伝える」ための方法やコンテンツ作りの楽しさを知る。
立命館大学卒業後は楽天(株)に就職し、インターネットを通じたマーケティングやコンテンツ開発から、楽天市場に出店する店舗様の売上を上げるコンサルタントを経験。その後独立をする。
現在はフリーアナウンサーとしてDAZNやスカパー等でスポーツ実況も担当している。
その他にも結婚式、イベントの司会や企業・高校・大学等へコミュニケーションの講師としても活動中。
「話すことが楽しい!」と思える人を増やすために、学生から主婦まで幅広くオンラインや直接指導等を行っている。
【過去の出演歴】
DAZNにてJリーグ中継(J1/J2/J3)、スカパーにて天皇杯やユースの試合等も担当。
その他にもなでしこリーグやアメリカンフットボール・ラグビー・高校野球の実況担当経験もあり。